健康長寿の知恵に触れる旅 ~沖縄短期留学ツアー開発~

「シニア短期留学~健康長寿の知恵に触れる旅~」と題した、大学での学びと体験の新しい旅行の開発に挑戦し、12月4~9日の6日間で実施、無事終了しました。上は89歳の元気なシニア高齢者らが全国各地から12名参加いただきました。
午前中は琉球大学構内で、健康、食、睡眠など長寿にまつわる講義を受講します。講義終了後は、校内を散策しながら学生食堂で学生らに交じってランチを楽しみます。沖縄の今を知り、沖縄の健康資源に触れる学びと体験が融合したヘルスツーリズムを開発することができました。
監修:国立大学法人琉球大学ウェルネス研究分野
企画・運営:一般社団法人シニアと大学と地域ネットワーク、イーストホームタウン沖縄株式会社、琉球大学ウェルネス研究ゼミ(学生協力)

ツアー解説

世界一長寿地域をかつて達成した沖縄長寿者のライフスタイル、達成に寄与した沖縄の環境、地域資源、文化には今でも世界中が注目しています。高度情報社会、消費社会のなかで、現代人が忘れつつあるスローなライフスタイルを沖縄の多くの人々は今でも実践しています。ありのままに自然に身を委ね、地域に根付いた伝統的な文化や固有の食材を楽しむ、亜熱帯海洋性気候で温暖な生活を求めて沖縄への移住者も年々増えています。
時には、忙しい日常にふと立ち止まってみて、『本当の豊かさとは?』『人生の質とは?』を志向するきっかけの旅はいかがでしょうか。沖縄の持つ素材の力に触れる旅、健康長寿と人生の活力へのヒントを得る沖縄旅へ、さあまいりましょう!

ツアー行程

初日:開講式、オリエンテーション、懇親会

2日目:講義①「沖縄の食文化と注目食材」

健康長寿を育んだ沖縄の薬草、伝統野菜、新たに注目される食材や琉球王国時代の中国との関係による医食同源の思想が根付く沖縄独自の食文化、家庭料理の3大調理法「チャンプルー」「イリチー」「ンブシー」について学びます。

講義②「なぜ海はからだにいいのか?」
海は本来人類最古の治療の場でありました。美しく清浄な海で治療の効果が高まる海洋療法(タラソテラピー)に近年注目が集まり、温暖で清浄な海洋環境を有する沖縄は日本の先進地になりつつあります。そうしたなか、ヨーロッパ型とは違う日本古来の伝承に根差したタラソのあり方『潮湯治(しおとうじ)』を琉球大学の荒川雅志教授は提唱しています。海の神秘と健康資源に活かす最新動向について学びます。

3日目:フィールド体験①「沖縄北部やんばる森林浴エコヘルスプログラム」(国頭村)

沖縄本島北部は長寿地域として注目されるエリアです。長寿料理「笑味の店」で店主金城笑子さんの解説を聞きながら味わう長寿膳実食につづき、沖縄最大の滝「比地大滝」をトレッキング、森林セラピーを体験します。その後、心地よい疲労感を癒す海洋療法施設かりゆしカンナタラソラグーナでタラソアクアフィットネスを体験します。

4日目:フィールド体験②「沖縄南部精神文化と原点回帰プログラム」(南城市)

琉球王国時代最高の聖地とされる世界遺産「斎場御嶽(せいふぁーうたき)」や、神の島「久高島」をはじめ、沖縄の精神性の象徴が集まる沖縄本島南部の南城市をフィールドに、こころの健康をテーマとしたビーチヨガなど体験型実習をおこないます。昼食は沖縄薬草園「ウコンサロン」にて薬食同源思想の実食体験をします。

5日目:講義③「長寿と睡眠~快眠素材で美と健康~」

沖縄で古くから親しまれる伝承野菜のひとつクワンソウ(アキノワスレグサ)は快眠素材として注目されています。クワンソウを事例に長寿に欠かせない良質な睡眠のとり方について学びます。

講義④:琉球大学公開講座参加「アクティブシニアと旅・健康・交流ライフスタイルを考える」
旅・健康・交流・がキーワードの琉球大学公開講座に参加し、沖縄県民の方々、サテライトで石垣、宮古の方々とも意見交流を図るグループワークを試みます。地理、風土、旅行者と地元住民という立場の異なる交流で生まれる健康観、人生観への新たな視点や発見が得られ大いに盛り上がりました。

6日目:「健康長寿と農的生活」

沖縄長寿者の特徴に生涯現役の精神で農と自然に触れるスローライフスタイルがあります。沖縄移住者、農的生活実践家の活動紹介を通して健康長寿の秘訣を探ります。

修了式、懇親パーティー

本プログラムの修了を証明する「修了証書」を大学の監修名のもとに授与します。

国民の主要構成員となるシニア高齢者の最大の関心事は「健康」であり、「長寿」は誰もが希求するテーマです。健康とは、豊かな人生とは、を参加者、地元住民と共に議論する交流する機会を生み、新たな発見を促し、新たな視点や気づきというおみやげを持って帰っていただく旅をこれからの観光として提唱していきます。
生涯学びたいというシニアのニーズは高く、地域市民に地元の大学が果たす役割は大きいものですが、「旅行者にも開かれた大学」という役割と価値が今後大いに求められるものであり、本旅行の開発は先駆的試みを果たしたと考えられます。