ヘルスツーリズムの最新動向紹介フォーラムを開催

去る6月2日、平成28年度琉球大学公開講座の一環に、当ウェルネス研究プラットホームではヘルスツーリズム人材フォーラム「観光に健康医療専門職が活躍する時代~次世代ヘルスケアと地域づくり~」を開催しました。特定非営利法人日本ヘルスツーリズム振興機構が共催くださいました。

日本再興戦略「健康寿命延伸産業」の創出では、次世代ヘルスケア産業による医療費削減、地域の経済活性、雇用の創出が掲げられ、そのなかで観光には大きな期待が寄せられています。厚生労働省では平成27年度から宿泊型新保健指導プログラム試行事業(スマートライフステイ)を開始し、こうした新しい国家政策を支えるための多業種、多職種連携の取り組みに、新たな人材育成が求められています。

観光・旅行が次世代ヘルスケア、次代のヘルスプロモーションとなる時代の到来において、健康医療従事者に求められる資質とは?医療費抑制と地域活性を実現したい行政にできることとは?という問いに応えるべく、ヘルスツーリズムの第一人者らが集結し、最新動向を紹介しました。

●荒川雅志 琉球大学観光産業科学部教授
「日本型ヘルスツーリズムの最新~宿泊型新保健指導(スマートライフステイ)~」

●高橋伸佳 琉球大学観光産業科学部非常勤講師
「ヘルスツーリズムにおける品質の見える化と各国の最新動向について」

●木下藤寿 NPO熊野で健康ラボ代表理事
「世界遺産熊野古道を活用したヘルスツーリズムの先進的取組み」

続くパネルディスカッションでは「ヘルスツーリズムがもたらす健康医療と観光の融合人材への期待」と題して、沖縄県南城市でのヘルスツーリズムの取り組みを、特に『こころに効く、サプリメントな旅』というコンセプトで実践展開している観光事業者(イーストホームタウン)の事例を交えてセッションをおこないました。
当日は県観光行政のトップから市町村の関係者、観光事業者をはじめ多数の来場者にご関心いただき大盛況でありました。

講師プロフィール

荒川雅志 琉球大学観光産業科学部教授

福岡大学大学院医学研究科社会医学系専攻修了。医学博士。重量挙げ競技歴(パワーリフティング全日本学生優勝・アジア代表)。健康運動指導士、加圧トレーニング統括指導者、運動プログラム指導開発事業に従事。
琉球大学で初の寄附講座制度設計をてがけ客員助教授に就任(2005年)。日本の大学で初の「ヘルスツーリズム論」専門科目を開講。2014年観光科学科長、観光産業科学部副学部長(~2015年)。専門は応用健康科学、疫学、ヘルスツーリズム、ニューツーリズム。
経済産業省健康寿命延伸産業創出推進事業ヘルスツーリズム品質評価プロジェクト委員。厚生労働省宿泊型新保健指導プログラム研究班、ほか国県各種委員会委員、地方創生委員を多数務める。主な論文に「日本再興戦略における日本型ヘルスツーリズムの再構成、メンタルヘルスツーリズムの展開」(観光研究, 27(1):18-23 2015)、「なぜ海は体にいいのか」(海運KAIUN, 1054(7):77-80 2015)ほか論文多数。日本型ヘルスツーリズムの体系化、ウェルネスツーリズム研究者、海洋療法学者。
文部科学省「ヘルスツーリズムのエビデンス基盤構築」研究代表者(2014-16年度)

高橋伸佳 琉球大学観光産業科学部非常勤講師

順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士課程単位取得満期退学。株式会社コーセーを経て、JTBグループに入社。国内で初めてヘルスツーリズムの創出に言及した日本旅行業協会「旅と健康に関する調査研究プロジェクト」(2000年)の立上げに関わった後、旅行・観光業界における健康・医療領域のR&D業務を一貫して担当。ヘルスツーリズム研究所(2005年)、日本ヘルスツーリズム振興機構(2006年)、ジャパン・メディカル&ヘルスツーリズムセンター(2010年)の立上げに主要メンバーとして参画。現在、(株)ジェイティービーグループ本社経営企画部開発管理担当部長、ヘルスツーリズム研究所長、ジャパン・メディカル&ヘルスツーリズムセンター長を兼務。
日本経団連ヘルスケア産業部会「健康投資と企業経営」委員、近畿経済産業局「健康産業の見える化」委員、大阪市「健康予防医療プロジェクト」コーディネイター、国土交通省観光庁「ニューツーリズムの顧客満足度調査」委員、他多数歴任。一般社団法人粒子線がん治療患者支援センター理事、NPO日本ヘルスツーリズム振興機構事務局長を兼務。

木下藤寿 NPO熊野で健康ラボ代表理事

福岡大学大学院体育学研究科健康運動学修士課程修了。福岡大学体育学部助手、福岡大学医学部微生物学研究室での研究を経て(財)和歌山健康センター、2011年NPO法人熊野で健康ラボ代表理事に就任。健康づくりを中心に、街づくりや観光商品等の開発・コンサルティングに従事。専門は運動生理学、運動療法、健康管理、スポーツ医科学、気候療法、地形療法士(ミュンヘン大学)。健康運動指導士。
第1回日本ヘルスツーリズム大賞受賞(2008年)、厚生労働省スマートライフプロジェクト健康寿命アワード団体部門優良賞(2013年)。主な論文・著書に「健康増進へのスポーツ医学の応用」(臨床スポーツ医学,第20巻5号,2003)、「地形療法によるメタボリックシンドローム改善プログラム」(2008、日本産業衛生学会)、「気候療法と健康づくり」(体育の科学Vol.63 281-288, 2013)ほか多数。
経済産業省ヘルスツーリズム認証制度検討委員会委員、日本クアオルト協議会アドバイザーをはじめ全国自治体の委員サポート多数。一般社団法人健康保養地医学研究機構理事、一般社団法人日本クナイプ協会理事。