新しいツーリズムを考えるまちづくり―ウェルネス地方創生―

石垣市役所主催による「新しいツーリズムを考えるまちづくり~医療・健康・美容・運動・食・農業×観光~」勉強会講演会が2016年2月29日石垣市商工会で開催され、当プラットホーム荒川雅志教授が講演しました。全国で取り組まれる地方創生のなかでも、沖縄版地方創生は「ツーリズム地方創生」そして「ウェルネス地方創生」(荒川2015)という切り口があること、ウェルネス産業に観光を組み合わせた体験交流型観光が中長期保養滞在型、2拠点居住が視野に入り、移住定住の人移動を促進するカギとなると考えられます。

旅は「非日常」が教科書的ですが、健康は「日常」、その健康を旅でケアし癒されるヘルスツーリズムは「日常の延長」という新しい視点とサービス価値を創出できる可能性があります。観光という「船」に、何を載せて地域の魅力、地域の想いを伝えるか、観光の本質はメッセージ産業です。ヘルスツーリズム、ウェルネスツーリズムにより、人々のライフスタイル、人生の一部に旅先の地域が組み込まれ、単なる観光地ではない自己開発自己実現ができる地域として顧客との新たな関係性を構築できるか。地域のあらゆる資源を健康資源という新たな資源と付加価値に転換し、本来の自分、人間力を取り戻す・還る場所・リセットの旅を提供する、何度も帰る目的地(デスティネーション)になることができるか。そんな新しい観光を実現できれば。

ヘルスツーリズムを成立させるためには健康×医療×食×農業×美容×文化芸能×IT×環境×観光に関わる多業種多職種連携「アライアンス」が自然に求められ、これまで接点のなかった業種職種の視点意見が交差し新しいサービスイノベーションを生み出す機会も醸成されます。

全国自治体の地方創生の取り組みに当研究プラットホームも関わる機会が増え、ヘルスツーリズムが観光の枠を超え次世代ヘルスケア産業やまちづくり、そして人口減少国家の地域の生き残りを賭ける一手としても期待されはじめたようです。ヘルスツーリズムがブームで終わらないよう、産官学医連携によるウェルネス地方創生の成功事例が期待されます。

新しいツーリズムを考えるまちづくり勉強会
医療× 健康× 美容× 運動× 食× 農業× 観光~多業種の連携による地域活性化に向けて~
◆主催:石垣市/独立行政法人 都市再生機構 ◆後援:石垣市商工会/石垣市観光交流協会

八重山毎日新聞掲載