沖縄の温泉に関する基礎的研究~『温泉』に掲載~

 一般社団法人日本温泉協会が季刊発行する機関誌『温泉』(昭和5年創刊)に、昨年より沖縄復帰50周年記念の特集として「沖縄の温泉」を全4回で連載掲載を担当していますが、2023年秋号(8月10日発行)に最終回が掲載されました。
 当ウェルネス研究分野ではSPA研究開発、教育では日本初のSPAに関する正規授業「スパ&ウェルネス論」を開講するなど国内をリードするSPA研究開発拠点となっています。温泉は日本のSPAの一形態として海外から認識されるなか、沖縄県は日本で最も温泉の少ない県となっています。環境省温泉地保護利用推進室の統計では令和4年3月末時点で県内に20の源泉が確認されています。内訳はリゾートホテル併設型が高く、観光立県として地域特性を活かした温泉として、南国リゾートのイメージに沿った“沖縄らしさ”を演出する温泉が見られます。

 こうした実態の最新をまとめた論文や報告書はなく、一昨年コロナ過のなか県内20すべての温泉を現地取材、情報収集しました。全4回シリーズで報告してきた最後の今号では宮古、八重山地域の温泉について紹介するとともに、温泉に類似する海洋温浴施設の紹介、世界的に需要高まるウェルネスツーリズムの動向とあわせて紹介しました。

・荒川雅志, 姜 享淑, 狩俣栄作, 石井宏子. 沖縄の温泉に関する基礎的研究(4). 温泉 91(3) 26-28 2023

沖縄の温泉の事例(宮古地域・八重山地域)

■源泉名:宮古島温泉
■利用施設:宮古島温泉
■エリア:宮古地域(宮古島市)
■利用形態:独立温浴施設型
■泉質:ナトリウム-塩化物強塩泉
■深度:1,500m 
■湧出量:306ℓ/min
■温度:48.0℃
■特徴:陰イオンの主成分が塩化物イオン、陽イオンの主成分はナトリウム。またマグネシウムが約400mg/kg、よう化物イオンが約20mg/kg含まれている。内風呂、露天風呂があり、多彩な貸切風呂(岩風呂、檜風呂など)がある。
(泉質別適応症)
浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症

写真:宮城左代子氏提供


■源泉名:宮古R-1号井
■利用施設:宮古島市海宝館(現在未利用)

■エリア:宮古地域(宮古島市)
■利用形態:独立温浴施設型
■泉質:ナトリウム-塩化物強塩泉
■深度:2,431m
■湧出量:464ℓ/min
■温度:68.7℃
■特徴:陰イオンの主成分が塩化物イオン、陽イオンの主成分はナトリウム。またマグネシウムが約400mg/kg、よう化物イオンが約20mg/kg含まれている。

(泉質別適応症)
浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症

写真:筆者撮影 (現在未使用)


■源泉名:宮古島シギラ温泉
■利用施設:シギラ黄金温泉(南西楽園リゾート)

■エリア:宮古地域(宮古島市)
■利用形態:独立温浴施設型
■泉質:ナトリウム-塩化物泉
■深度:1,200m 
■湧出量:470ℓ/min
■温度:49.8℃
■特徴:陰イオンの主成分が塩化物イオン、陽イオンの主成分はナトリウム。楽園リゾートな沖縄らしい雰囲気の露天風呂、展望風呂、水着着用して入れるジャングルプールや洞窟湯や寝湯、多彩なサウナあり。プライベートルーム(貸切風呂)も充実。
(泉質別適応症)
浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症

写真提供:南西楽園リゾート


■源泉名:西表島温泉
■利用施設:西表島温泉カンパネルラの湯
■エリア:八重山地域(竹富町)
■利用形態:ホテル付帯施設型
■泉質:単純温泉
■深度:16m
■湧出量:2.7ℓ/min
■温度:29.0℃
■特徴:肌触りが柔らかく、癖がなく肌への刺激が少ないのが特徴。
(泉質別適応症)
浴用:自立神経不安定症、不眠症、うつ状態

写真:筆者撮影(協力:ラ・ティーダ西表リゾート)

 沖縄県行政がリストしている温泉以外に、新設されたホテル付帯施設型の温泉が沖縄本島の那覇エリアに新たに2箇所(、および沖縄県行政では温泉として把握していないが沖縄で唯一火山性の温泉である可能性がある竹富海底温泉(竹富島)については、今後の取材調査対象としています。

・HOTEL SANSUI NAHA 琉球温泉 波之上の湯(那覇市)
・沖縄逸の彩温泉リゾートホテル(那覇市)


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