日本のタラソセラピー施設について③

「かりゆしカンナタラソラグーナ」
~沖縄県宜野座村~
沖縄初のアジア最大級の海水取水利用面積を誇る海洋療法(タラソセラピー)施設は2003年に本島北部の東海岸宜野座村漢那(カンナ)地区に誕生した。施設は漢那ビーチに隣接しており、金武湾近海を取水源とした新鮮な海水のみを使用し、敷地面積約1万平米内の2階にはフロント・バーデゾーン・プール・サウナ・レストラン、3階にはエステのほか、本格的なタラソテラピーの施術を受けることができるエグゼクティブゾーンが設けられている。バーデゾーンには14種類のマッサージ浴が屋内外にあり、そのほとんどの水温はリラックス効果の高い不感温度に設定され、身体全体を刺激する事ができるソフトなものから、身体の各部位を効果的にほぐすことができるハードなものまで様々である。

25mの海水運動専用プールはこの施設の大きな特徴であり、注目すべきプログラムに海水のミネラル比重粘性や浮力、抵抗、水圧特性を最大限に活かす『タラソアクアフィットネス』がある。琉球大学との共同研究の結果、高齢者の日常生活体力機能向上(ADL)やメタボリック関連指標の改善、精神安定作用や睡眠の質的改善が認められた。マッサージ浴の一部には沖縄の生活ではよく登場する「サンニン:月桃」や「シークワーサー:柑橘類」などが使われていたり、ミストサウナには敷地内で収穫されたレモングラスなどが使われていたりと、従来のタラソテラピーに沖縄らしさが取り入れられている。

3階には“究極のアクアセラピー”といわれるWATSU(ワッツ)が海水で体験できる専用プールがある。こうした複合型総合施設によって、地域住民の健康増進と、旅行者の旅の疲れを癒す2面性を持ち合わせている。
平成26年度には厚生労働省地域健康増進事業の一環に、糖尿病予備群を対象にホテル旅館などの地域観光資源等を活用する「宿泊型新保健指導プログラム(スマート・ライフ・ステイ:SLS)」の沖縄第一号モデル事業が当施設で実施された。上述のタラソアクアフィットネス(琉球大学共同開発・監修)が運動指導プログラムとして採用され、海水特性を享受し楽しみながら効果的な運動ができることで、地域の資源が「保健指導資源」としての新たな価値を生み出す可能性を示した。

恵まれた緑の大地と清涼な空気に青く輝く海が広がる宜野座は、全天候型のタラソセラピー施設を中核に、海洋性気候を最大限に活かした滞在型タラソプログラムの実現が期待される場所である。

琉球大学ヘルスツーリズム分野
健康医療食と観光創造プラットホーム
文責:図師 里佳 監修:荒川 雅志

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タラソ館内全体図owc022
 ©沖縄WATSUセンター「海水ワッツ」
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宿泊型新保健指導スマートライフステイ沖縄運動指導プログラム「タラソアクアフィットネス」

かりゆし・カンナタラソラグーナHP
http://www.kanassa.jp/より写真引用