アジア経済戦略構想策定委員会で講師

沖縄県アジア経済戦略構想策定委員会が先月沖縄県庁会議室でおこなわれ、当プラットホームの荒川雅志教授が講師として招聘されました。

「沖縄県アジア経済戦略構想」は、成長著しいアジア経済のダイナミズム、巨大なマーケットの中心に位置する沖縄の地理的優位性を活かし経済発展の実現に向けて、翁長雄志沖縄県知事が選挙前からの公約に掲げていた重点的取組みです。同戦略構想策定のため策定委員会を設置し、委員には沖縄21世紀ビジョン策定に携わった富川盛武沖縄国際大学教授を会長に、安里昌利沖縄県経営者協会会長、石田達也ジェトロ沖縄所長、上地恵龍琉球大学客員教授、植松只裕全日本空輸ホールディングスグループ経営戦略部副部長、赤嶺真一沖縄ヤマト運輸社長、荻野章次郎双日ロジスティクス顧問、益戸正樹バークレイズ証券顧問、金城盛順県金型技術研究センター長、名護宏雄コンピュータ沖縄社長が務めています。

作業部会は大きく3つに分けられており、「貿易・海外ネットワーク・物流・製造業・農林水産」②「観光・健康医療・地域経済・アジア経済」③「情報通信・環境・エネルギー・グローバル人材育成」が沖縄の競争優位と今後力を入れるべき分野として位置づけられています。

今回は、作業部会のひとつ「健康医療分野」の検討が行われ、同分野を専門とする荒川教授からは「医療」と「ウェルネス」2つの視点で整理すること、ウェルネス市場が世界的に成長していることから、沖縄の豊かな自然、文化、健康長寿資源はもとより、観光資源を健康資源として価値を創出するウェルネスツーリズム、ヘルスツーリズムが有望なことを各種データを基に解説しました。短期的には健診や人間ドックのニーズが高い中国を中心に観光プログラムとセットにしたヘルスツーリズムを推進し、中長期的には、西普天間基地跡地に整備が立案される「国際医療拠点」(国内5番目の重粒子線治療施設、琉球大学医学部・附属病院移転、各種高度医療施設)を核とした先進医療ツーリズムへの展開拡大が期待されます。一度きりの観光ではなく、健康リセットの場として何度も保養とヘルスチェックに訪れる=ライフスタイル・人生の一部に組み込まれる旅というコンセプトを提起し、そこに沖縄が選ばれるべきであることを提案しました。戦略的にはパーソナルヘルスレコード(PHR)大量データサーバのインフラ整備、アジア経済圏人口38億人のヘルスデータバックアップ構想を目指します。
これまで交わることの少ない観光セクター、健康セクターが交わり、次世代ヘルスケア、健康観光産業を創出することは国家再興戦略としても期待されているものです。“アライアンス”(同盟の意から提携、連携の意へ)をしっかり組むにあたり、ヘルスツーリズムでは必然的に連携が促され、イノベーションを生み出すきっかけとなることも解説しました。

沖縄は日本全体のフロントランナーとして経済再生の牽引役、日本再生の原動力になり得ることが期待されています。こうした沖縄のアジア経済戦略構想案にヘルスツーリズム、ウェルネスツーリズムが重要戦略として明確に盛り込まれることを期待して講義を終えました。