日本のウェルネス、ウェルネスツーリズム

日本のウェルネスの最高価値
「長寿世界一」

 世界のウェルネス市場は2025年までの5年間に年9.9%の力強い成長を遂げることが予測され、なかでもウェルネスツーリズム産業分野は20.9%と顕著な成長を遂げ、世界中で今後もっとも成長著しい観光形態との予測があるなかでは、我が国も各地域も当然注力していくべきでしょう。量の時代から「質」または「個」に転換しつつある時代への対応に、ウェルネスツーリズムの推進は極めて理に適っています。
 ウェルネスツーリズムの設計には、日本のウェルネスの独自性を議論し、他の国々には真似のできないものを提供する必要があります。日本が世界に対して優位に提供しうる価値とは一体何でしょう?日本独自のウェルネスを議論し、世界へ通用するジャパンウェルネスを確立しようという機運が高まりつつあります。2019年9月に開催されたスパ&ウェルネスジャパンシンポジウム(会場;東京ビックサイト)で「Jウエルネス」(日本のウェルネス)を議論する2つの会議のなかで、登壇者らの意見は一致して日本のウェルネスが目指し発信すべきことは『長寿』だと提案されました注1)。 

 人類が希求するテーマとは、いつまでも健やかであること、その先にある「長寿」でしょう。世界保健機関(WHO)が発表した最新の統計(World Health Statistics 2022;2019年データ)によると、日本人の平均寿命は84.3歳で、統計を遡ることができる20年以上前から長寿世界一の座を守り続けています。この長寿世界一の統計的事実と、自然、社会環境因子、食文化、精神文化、日本的ライフスタイルとを紐づけることで、上質のウェルネスコンテンツを生み出すことが可能です。日本の長寿とは、まちがいなく世界に誇るブランドとなり得ます。世界のウェルネス市場において優位な競争力を発揮できるのは、この長寿世界一という事実を大いに活かした“ジャパンブランドウェルネス”を確立することが期待されます。

図1. 長寿世界一日本 (平均寿命世界ランキング2022)

 一方、未来永劫に長寿世界一であり続ける保証はありません。たとえその座を明け渡したとしても、世界一にならしめた「長寿資源」はそう変わらずここに在るという発信の仕方も重要です。最先端のIT、AI等テクノロジーとの融合、十人十色の健康状態、ウェルネスニーズに対するオーダーメイドが、しっかりとエビデンスを備えた「高品質」で提供されていくこと、一方でそれらは日本流であること、四季、自然、多様な地形、街並み、暮らす人々、そして相手の気持ちを察するおもてなしや心遣いでパーソナライズするウェルネスの空間や時間というものが、世界が期待する日本の姿ではないだろうかと提唱されています。豊かな自然、和の伝統や文化といった日本的精神的価値と、最先端技術という機能的価値の融合に期待が寄せられています。
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注1)Jウェルネス発信シンポジスト一覧
●第11回スパ・シンポジウム「今年を『J‐ウエルネス』発信の年に「基調講演2~新・湯治への取り組み」環境省自然環境局自然環境整備課温泉地保護利用推進室長・山本麻衣「アマンが考えるウエルネス、日本が目指すウエルネス」アマングループスパディレクター・清野 志、特定非営利法人日本スパ振興協会理事長・岡田友悟
●ウエルネスビジネスミーティング「日本が求められるウエルネスとは何か」(第8回スパプロフェッショナル100人会議)温泉ビューティ研究家・石井宏子、ヴィセラ・ジャパン株式会社代表取締役・武藤興子、株式会社ピー.ディー.エス.アーキテクツ一級建築士事務所代表取締役・濵田幸康、琉球大学大学院観光科学研究科研究科長/教授・荒川雅志(20019年9月10日、東京ビックサイト)

徹底した和の追求~
四季、温泉、海、山、固有の食、伝統文化精神性

 人々を惹きつけるディスティネーションの4条件は「気候」「自然」「食」「文化」といわれます(図2)。我が国は温帯で穏やかな気候に恵まれ、四季折々の美しい自然と情緒に溢れ、四方を海で囲まれた島嶼の多様性を育み、世界有数の温泉大国であり、地域固有の食材を有し、世界無形文化遺産に登録された和食は今や世界共通語「WASHOKU」として発信され、発酵技術も「HAKKOU」として認知され、海外の一流シェフ達に高く評価されています。独自の伝統文化を醸成してきた優れたディスティネーションの潜在条件を見事に備えています。

 海外では温泉は“Hot Spring”あるいは“Spa”と表記されますが、“ONSEN”(温泉)と呼ばれて日本固有のスパであるという認識もされつつあります。我が国は温泉地数2,934ヵ所(環境省、令和3年3月末時点)と世界有数の温泉大国であり、古来より温泉を重要な保養と健康医療の資源として活かしてきました。海外スパとの差別化戦略の観点でも日本の温泉文化は強力なキラーコンテンツになり得ます。日本の温泉医学研究は世界をリードしており、温浴と効能の機能的価値、温泉にまつわるエピソードといった情緒的価値を織り込んでいけば、日本型ウェルネスツーリズム・コンテンツの主軸となるのは間違いないでしょう。

図2. 人々を惹きつけるディスティネーションの4条件

海洋資源は健康資源

 日本は四方を海に囲まれた海洋国家であることを再認識することも重要です。海域・排他的経済水域を加えると世界第6位、面積当たりの海岸線延長は実に世界第3位の海洋国家なのです。海が人体に好影響を及ぼすことは人類文明の黎明期から経験知として存在し、医学の祖ヒポクラテスは実際の治療に用いていたとの記述が残っています。我が国でも病気治療のための海水浴は“潮湯治(しおとうじ)”と呼ばれ伝承されてきた記述が江戸期の文献にみることができます。

 現代における海の健康利活用は、海洋療法(タラソテラピー:Thalassotherapy)と呼ばれ、「海と海洋性気候、さらには海藻や海泥なども含めた海の恵みを総合的に活用して、心身に総合的に作用する治療、または健康増進のための方法」と定義され、先進地フランスでは一部保険適用もみられます。日本には現在16の海水温浴施設、併設ホテルが存在していますが、意外にも多いこと、アジアでは最大であるといった事実は国内および世界的にもまだほとんど認知されていません。長い歴史を通じて海との共生を果たしてきた経験と知恵、海にまつわる数々の物語を強みに、海洋資源を新たに“ウェルネス資源”として活かす知恵とセンスが必要です。欧州の真似ではなく、アジアのメッカとしての新たなコンセプト、和の文化、潮湯治の歴史に根差した海洋療法の確立がここに待望されます(図3)。

図3. 海洋資源は健康ウェルネス資源に~潮湯治の再生~

 こうした豊かな自然資源に加え、世代を超えて受け継がれてきた歴史文化、伝統芸能、様式美の数々、「禅」「道」を究める精神性といった優れた地域資源を見事に備えているのが日本です。自然への対峙を例に見ても、欧米は自然を「支配」「克服」していく自然観に対し、日本人は「畏敬」や「共生」の念を以て寄り添っています。台風や震災の多い国がゆえに育った精神風土「脆さ」「不完全さ」「不規則さ」「あいまい」「刹那」「儚さ」「無常」などの繊細な感性表現から、「もののあはれ」「詫び寂び」「花鳥風月」「をかし」「雅」「粋」といった日本人特有の美的感覚、美意識を形成し芸術にも昇華していきました(図4)。

図4. 日本人の自然への対峙「共生」「畏敬」から生まれる精神性、美意識

 こうした日本の持つポテンシャルを再認識すること、日本的な感性や美意識の追求、徹底した「和」の追求こそが、日本のウェルネスを構成していくうえで重要と考えられます。日本のウェルネスツーリズムとは、これらをツーリズムという“船”にのせて発信することではないでしょうか。海外ウェルネスツーリズムの事例として数々のアワードを受賞してきたタイのチバソムやコモシャンバラ、カマラヤ・コ・サムイを紹介しましたが、果たしてこれに太刀打ちできるものが日本に創ることができるであろうか。答えは、“イエス”です。

 一方、潜在資源を“ウェルネス資源”として創造力を駆使して掘り起こさなければ、資源は資源のまま、ただそこにあるのみです。次代のライフスタイル志向者に受容されるための創造力が求められています。施設・原料の衛生管理、技術の高さなど日本の強みでもある「安全・安心価値」、素材・商材のエビデンスなど「機能的価値」、素材の由来、提供者の想い、ストーリーなど「情緒的価値」を基盤に、世界一長寿の秘訣に紐つけた日本独自の素材との出会い、長寿の知恵に触れる、”つながる”というスペシャルインタレストな体験を創造、JAPANブランドウェルネス(荒川 2017)として共感、賛同する方々とコンセプト共有、プラットホーム化していけば、世界的なウェルネスディスティネーションが全国津々浦々に誕生するものと確信しています(図5)。

図5. ジャパンブランドウェルネス(荒川 2017, 2019)*1

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脚注1)ジャパンブランドウェルネス、ジャパンウェルネス、ジャパンウェルネスツーリズム初出先一覧:(1)荒川雅志著、日本スパ振興協会編著. ウェルネスツーリズム~サードプレイスへの旅~. フレグランスジャーナル社 2017.p20, p26 (2)荒川雅志. ウェルネスをコンテンツに誘客を〜世界へ通用するJAPANブランドウェルネスとは〜 HOTERES 54(18) 52-53 2019.(3)ワールドウェルネスビューティー主催ウェルネス戦略セミナー基調講演「ウェルネスコンテンツで誘客を~世界に通用するJAPANブランドウェルネスとは~」(琉球大学荒川雅志教授、2019年1月28日、東急プラザ銀座)

“ブルーゾーン”世界5大長寿地域がある日本・沖縄

 「ブルーゾーン」という言葉は、イタリア人医師ジャンニ・ペスがイタリア・サルディーニャ島の孤立した地域に100歳者の男性が集中していることを発見、ブルーゾーンという言葉をこの地に最初に適用しました。ベルギーの人口動態学者ミシェル・プーランがペスの発見を確認し、2004年『Journal of Experimental Gerontology』誌に発表しました。その後、世界最大の自然科学商業誌『ナショナル・ジオグラフィック』のライターであり冒険家のダン・ビュイトナーは、統計的に世界で最も長寿の地域にこの地理的な用語を拡大し、日本の沖縄、米国カリフォルニア州のロマ・リンダ、コスタリカのニコヤとギリシャのイカリア島を加えてブルーゾーンと発表しました。ナショナルジオグラフィック誌2005年11月号にThe Secrets of Living Longer”(長寿の秘密)という特集が組まれ、その表紙を飾ったのは沖縄県那覇市の波の上ビーチで逆立ちをする男性長寿者で、世界中にインパクトを与えました。2008年、『The Blue Zones~世界の百歳人(センテナリアン)に学ぶ長寿の9つのルール~』(ダン・ビュイトナー著)が全米ビジネス書でベストセラーとなり、ブルーゾーンは世界中に知られるようになりました。
 書中には、健康、長寿の秘訣について、日本の沖縄を含む世界5大長寿地域に共通の9つのルールがあげられています。

●世界5大長寿地域”ブルーゾーン“に共通の健康長寿9つのルール

ルール1 適度な運動を続ける

ルール2 腹八分で摂取カロリーを抑える

ルール3 植物性食品を食べる

ルール4 適度に赤ワインを飲む

ルール5 はっきりした目的意識を持つ

ルール6 人生をスローダウンする

ルール7 信仰心を持つ

ルール8 家族を最優先にする

ルール9 人とつながる
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Dan Buettner. The Blue Zones, Second Edition: 9 Lessons for Living Longer From the People Who’ve Lived the Longest. 2012.
荒川雅志翻訳・監修、仙名紀訳『The Blue Zones(ブルーゾーン)2nd Edition(セカンドエディション)』祥伝社2022.

長寿の秘訣、アフターコロナの生き方のヒント
“つながり” TSUNAGARI

 日本を含むブルーゾーン世界5大長寿地域に学ぶ長寿の知恵は、ただ長生き・健康の秘訣だけでなく、現代が直面する課題解決にも活かされます。長寿研究の世界では社会疫学の分野から「社会関係資本」(ソーシャルキャピタル;人間関係、信頼、ネットワークの豊かさ)が長寿に大きく関連することが注目され、社会関係資本が高いほど、健康であることが証明されてきています。分かりやすく言えば、さまざまな“つながり”の存在です。世界5大長寿地域ブルーゾーンではルール9「人とつながる」が挙げられ、人とのつながりを通して地域、社会とつながることが長寿の秘訣であることが明らかにされていました(図6)。

図6. 人とのつながりは長寿の秘訣でありアフターコロナの生き方のヒント

 社会関係資本、すなわち“つながり力”が豊かな地域は、お互いに支え合う相互扶助のシステムが強固ともいえ、防犯、災害復旧、孤立死、子育ての不安などさまざまな地域の課題を解決することにつながります。2011年に起きた東日本大震災は未曽有の大被害をもたらしたが、そのなかで精神的にも早く立ち直った人々もいました。いち早く操業を再開した企業がありました。早く復興が進んだ地域がありました。オルドリッチら(2011)による地域復興の速さとソーシャルキャピタルに正の関連があることを認めた研究をはじめ、世界中の研究者らが震災地域に分け入り、強固なつながり、多様なつながりの存在を明らかにしています(図7)。

図7. 復興と社会関係資本(ソーシャルキャピタル)の関係~コミュニティ力、つながり力~

 100年に一度ともいわれる地球規模の未曽有の大災害は、つながりの再構築、新たなつながりを生む大きなきっかけとなるでしょう。時代に即したつながりのあり方、個人のライフスタイルとつながりをどのように創出していくかが、個人としても、地域としても、ビジネスとしてもカギとなっていきます。SNSの活用、ITの進化などテクノロジーの力は有望で、いわば“バーチャルなつながり”は新しいつながりを生み出しました。一方でやはり“リアルなつながり”を求めるニーズは高まり、その価値も高まる時代となるでしょう。
 地方創生として、総務省発の関係人口創出による移住定住促進策がはじまっていますが、観光業界、旅行社もホテルもこのいわば「つながり人口」を鍵に、レジャー余暇、観光者対象のビジネスモデルから脱却し、広く関係人口を顧客と捉えて取り込んでいけるかが業界復活と生き残りのカギとなるでしょう(図8)。

図8. アフターコロナはつながり力~新しいつながりでつながる時代~

自然、人、地域とつながりを創る
ウェルネスツーリズム
“つながりツーリズム”

 ポストコロナは世界がつながりを求めている時代です。美しくも時に大災害をもたらす自然への畏敬の念と共生(自然とのつながり)、世代を超えて受け継いできたライフスタイル(先人の知恵とのつながり)、結い、相互扶助(地域とのつながり)。人、自然、地域、社会との様々なつながりは長寿の秘訣であったことを示す日本・沖縄を含むブルーゾーンには、「よりよく生きる」 ためのヒント、そしてアフターコロナ時代における「生き方」のヒントがあふれています。生きる力への原点回帰、我々の遺伝子にまで組み込まれた本能である旅本来の力への原点回帰の時であります。自然、地域、人とのつながりを生みだす旅として、活かす知恵が期待されます(図9)。

 アフターコロナは“つながり”が大きなキーワードとなります。長寿世界一に導いた要因であるつながりを、“TSUNAGARI”として、アフターコロナの新しいツーリズムとして日本から世界に発信することは大きな意義があります(図10)。

図9. コロナ時代の生きる力、つながり力の再構築/新構築、ビジネスキーワード

図10. 自然・人・地域とつながりを創るツーリズム=観光(旅)の新しい価値

企業社員のメンタルヘルス、
生産性向上のカギは「原点回帰」

 ウェルネスツーリズムは、社会課題解決の糸口にもなり得えます。近年、メタボリックシンドローム対策とともに、企業のメンタルヘルス対策が喫緊の課題となってきていますが、地域の精神風土、伝統文化をウェルネス資源と捉えて、人も含めた地域交流資源に触れ心身をリフレッシュするとともに、自己を分析し、身の周りの環境、人間関係を見つめ直すきっかけとなる企業社員のメンタルヘルスや生産性向上に寄与するウェルネスツーリズムプログラムの開発が進んでいます。

 健康の究極のゴールは自然治癒力です。現代人は日々情報の波にのまれ、慌ただしいライフスタイルを余儀なくされ、心身ともに不調をきたしやすくなっています。優れたビジネスパーソンほど都市のなかでもマインドフルネス、瞑想、ヨガやフィットネスなどをライフスタイルに取り入れて心身ケアをおこなっていますが、時にはじっくりと疲れを芯から取り除き、人生に活力を与えるウェルネス旅が必要です。旅先ではできるだけゆったりと過ごし(スロー)、自然や地域固有の資源に触れ、五感(触覚、視覚、味覚、聴覚、臭覚)を総動員して感じることで、本来備わっていた免疫力、生命力を取り戻すきっかけとなる、本来の自分に「還る」=原点回帰の旅を我々ウェルネス研究分野は提案しています。

 健康は一過性で手に入るものではありません。人間の体に置き換えると、都市型ライフスタイルは生産性の場でいわば「脳」にあたり、地方は、リゾートは、心身をケアし、癒し、活力を得る場としていわば「からだ」にあたります。脳とからだは一体であり、切り離せるものではありません。都市型ライフスタイルを送る現代人にとって、都市と地方、リゾートの行き来は何度も「帰る」旅として、人々のライフスタイル、人生に組み込まれていくべきものです。

ウェルネスワーケーション 
 巡礼を起源とするウェルネスツーリズムは、内なる自分と向き合う時間、それは自身への原点回帰、悟りを得る機会ともなります。過去を振り返り、現在と向き合い、未来の生き方をデザインするための大切なひとときとなるでしょう。現代ウェルネスツーリズムは、古きと新しきが融合し、時代の要請のもとに登場した最新の積極的休養法、養生法のひとつともいえます。
 アフターコロナは長い移動生活が本来の人類の姿であった「遊動の時代」が形を変えて再び到来したのかもしれません。働き方、暮らし方、そして新たな生き方のニーズに応える旅のスタイルとして、アフターコロナの豊かな人生を実現する“ウェルネス・ワーケーション”という新しい価値創造が、ウェルネスツーリズムから実現していけると考えております。

 自分に還る旅、何度も帰るサステナブルな旅がウェルネスツーリズムです。ウェルネスツーリズムには、心身の癒しはもとより、ふと立ち止まり自分を見つめ直す原点回帰という価値があるのです。

 旅は「非日常」であるという観光学の教科書から、健康は「日常」であり、ウェルネスツーリズムは心身の点検、リセット、「日常の延長」への転地という新しい視点と新しい旅の提案の可能性がみえてきます。忙しい日々にふと立ち止まり、ウェルネスディスティネーションで身体の芯から疲れを取り除き、また忙しい日常に帰っていく。そこはもはや単なる観光地ではなく、本来の自分に還る場所への転地、そして、何度も帰ってくるべき大切な地となります。

人々の人生に寄り添い、人々の人生に組み込まれていく価値を提供できることが、企業が、地域が目指すべきゴールであると考えます。

▶定期的な保養地での溢れるウェルネスアイテムで心と身体のバランス調整を図り、豊かで創造的な人生のアクセントとなる旅。

▶物質的豊かさから心の豊かさ、人生の豊かさに価値がシフトし、健康は人生を豊かにする「資本」であることに気づく旅。

▶健康長寿の資源と知恵に触れ、味わい体験し、新しい発見と自己開発、そして本来の自分に「還る」旅。

▶人々のライフスタイル、人生に組み込まれ、また必ず帰ってくる旅。

▶自然とのつながり、人とのつながり、地域とのつながりを創る旅

 このようなツーリズムが日本全国に成立すること、人々のライフスタイル、人生設計の中に不可欠なものとして位置づけられていくこと、アフターコロナのツーリズムとして日本から世界に発信されることを期待しています。

参考文献

荒川雅志. 長寿ブランドを創る地域資源を掘り起こし日本型メディカルツーリズムを推進しよう, HOTERES 57(34) 22-23 2022.
荒川雅志. ウェルネスの本質 TRAVEL JOURNAL 58(35) 10-11 2021.
荒川雅志. 寺社がウェルネスに取り組む意義と地域貢献への可能性 寺社NOW (30) 16-17 2020.
荒川雅志. ウェルネスをコンテンツに誘客を〜世界へ通用するJAPANブランドウェルネスとは〜 HOTERES 54(18) 52-53 2019.
荒川雅志著、日本スパ振興協会編著. ウェルネスツーリズム~サードプレイスへの旅~. フレグランスジャーナル社 2017.
環境省HP. 環境省自然環境局自然環境整備課温泉地保護利用推進室 令和2年度温泉利用状況
https://www.env.go.jp/nature/onsen/pdf/2-4_p_1.pdf (2022年5月1日閲覧)
M. S. Granovetter. The Strength of Weak Ties, American Journal of Sociology, 78(6), 1360–1380, 1973.

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荒川雅志. アフターコロナの旅と健康~ウェルビーイングを達成する新しいウェルネス、ウェルネスツーリズムの定義、Precision Medicine. 6(2), 59-62 2023.
を必ず記載ください。

ウェルネスツーリズムとは(荒川, 2017, 2023)
*ウィキペディア「ウェルネスツーリズム」2018年9月16日WiA Akiによる投稿はこのWebページ著作権者の許可を得て投稿掲載されたものです。