ノーベル物理学賞・天野浩教授講演会でLED水中可視光研究発表

青色LEDの発明でノーベル物理学賞を受賞した天野浩教授(名古屋大学)の特別講演会が2015年2月16日沖縄県浦添市で開催されました。本講演の主催は琉球大学ドリームチームで、琉球大学工学部教授・島嶼防災研究センター長の波平宜敬先生のご尽力で実現した、貴重な機会でありました。天野浩先生のご講演には県内の高校生を中心に1,000名を超える聴衆で満員となり、講演タイトル「若い頃の夢と青色LED」と題して大いに未来の生徒たちに夢と希望を与えてくださいました。

本講演の前後において、(株)マリンコムズ琉球、琉球大学(ヘルスツーリズム荒川研究室)、国際潜水教育科学研究所で現在共同研究開発中の「LED水中可視光通信技術を活用した水中健康癒しプログラム開発」の研究発表をおこなう機会に恵まれました。マリンコムズ琉球・上間英樹技師長からは、沖縄ベンチャー企業としてLED通信技術(可視光通信)を水中に適用して世界初の商品化に成功した事例を発表しました。

荒川雅志教授からは、この水中可視光通信技術を応用した海中や水中の健康癒しプログラム開発の経緯を紹介しました。LED水中通信には、これまでの有線通信(絡まる危険性、距離の制限等)や音波通信、超音波通信にみられる欠点(音声が気泡にさえぎられる、潮流の影響を受ける等)を克服する大きな利点があり、水中でのクリアな会話が実現することによって多様な可能性が広がっています。我々はこれを水中で運動やヨガ瞑想など健康・癒しの世界への応用ができるのではと考え、数年前から研究開発に取り組んでまいりました。

我々の挑戦は、海をレジャーとしての活用の場から健康癒しの場へと180度価値転換を創造した画期的な試みであります。サンゴの少ない海域、たとえば浅瀬や白い砂底こそ、壮大な“海中フィットネススタジオ”と見立て、環境に負荷をかけることのない新しいサービスの展開や新しい観光メニュー、浮力、抵抗、水圧、水温などの水の特性を活かした次世代ヘルスケア、医療福祉への応用も期待されます。

潜水にはダイビング機材を用いますが、我々の開発した支援システム(『ダイバー支援システム』特許出願2013-205857)を使えば、珊瑚、熱帯魚、海中地形などを目的とする従来のダイビングから、「水中運動目的」(動的動作プログラム)、「癒し目的」(静的動作プログラム)、さらには「回復目的」(海洋療法や保健指導)など、ダイビングの新しい価値創出にも繋がり、健康ニーズ層、少子高齢社会のシニア市場開拓にも寄与できると期待できます。

沖縄県座間味村阿嘉島の実海域ではじまった海洋実験とともに、最近は安定した検証環境を求めて公共施設のプールやリゾートホテルの室内プールでの実証実験を開始しました。この取り組みは、閑散期には利用が乏しいこうした施設の有効利用、新しいホテルメニュー創出にも役立つという予想外の展開をみせています。残る主な課題として、指導者用マニュアルの開発など安全性の確立、エビデンス取得など効果性の立証、機器の最適化など、商品化に向けた研究開発を進めることで、近い将来どなたでも気軽に体験できるプログラム、世界中で楽しんでもらえる新しい健康癒しの実現を目指してまいります。

マリンコムズ琉球・上間英樹技師長によるLED水中可視光通信発表
世界初、LED水中可視光通信の商品化(マリンコムズ琉球)
沖縄座間味村阿嘉島での海中脳波測定実験の様子
LEDと水中癒しプログラムで新しい海の価値創造
沖縄発ものづくりとソフトの融合によるライフスタイルイノベーション
天野浩教授講演沖縄-荒川雅志教授LED水中瞑想開発