ブルーゾーンの村宣言 記念講演会開催 ブルーゾーンのまちづくり基調講演

2024年4月に「ブルーゾーンの村宣言」をした人口日本一の村・読谷村(よみたんそん、41,500人)にて、宣言を記念してブルーゾーン講演会&食と暮らし地域を守り伝えつながる未来へつなげる県産ムービー「HAPPY SANDWICH」(幸せのサンドウィッチ)上映会が開催、当ウェルネス研究分野・ブルーゾーン沖縄研究センターの荒川雅志教授が基調講演をおこないました。

名称:ブルーゾーンの村宣言 記念講演会

日時:2024年5月25日(日)午後2時
場所:読谷村文化センター 中ホール
主催:「ブルーゾーンの村宣言推進連絡協議会」
(参画団体)読谷村商工会 読谷村観光協会 読谷山花織事業協同組合 読谷村漁業協同組合 読谷村社会福祉協議会  読谷村公民館連絡協議会  株式会社 FMよみたん  NPO法人いちへき786  JAゆんた支店  JAゆんた市場 有限会社比嘉酒造 株式会社御菓子御殿 沖縄ハム総合食品株式会社 一般社団法人読谷ブルーゾーン研究協議会
後援 :読谷村 読谷村議会

プログラム:
1.基調講演
世界の100歳に学ぶ健康と長寿9つのルール
講師
ブルーゾーン研究国内第一人者
国立大学法人琉球大学国際地域創造学部
荒川雅志 教授 医学博士

2.映画上映会
食と暮らしの県産ムービー、国際映画祭各受賞
「HAPPY SANDWICH」(幸せのサンドウィッチ)

来賓挨拶
読谷村 村長 石嶺 傳實 様
読谷村議会 議長 伊波 篤 様

主催者代表挨拶
ブルーゾーンの村宣言推進連絡協議会
代表世話人 新垣 修幸

【ブルーゾーンとは?ブルーゾーン沖縄の今とこれから】
ブルーゾーンとは、イタリア人の医師ジャンニ・ペスは、国勢調査のデータを使ってイタリア・サルデーニャ島の孤立した地域を探し出し、そこに世界で最も百歳者の男性が集中していることを発見、ブルーゾーンという言葉をこの地に最初に適用しました。2004年、国際学術誌『Journal of Experimental Gerontology』に発表されたのち、世界自然科学商業誌「ナショナル・ジオグラフィック」の記者であり冒険家であるダン・ビュイトナー氏は、この言葉を日本の沖縄、アメリカ・カリフォルニア州のロマリンダ、コスタリカのニコジャ半島に広げ、各国の研究者、医師らの協力によりブルーゾーンを人口統計学的に確認された長寿の場所の国際的呼称として確立しました。2008年に「The Blue Zones」第一版が出版、ニューヨークタイムズベストセラーとなり、2012年にはギリシャのイカリア島が加わって5大長寿地域となったフルバージョン版の日本初翻訳・監修を荒川雅志教授が手掛けました(2022年11月)。

【ただ長生きではない、生きがい、つながり、再生の先人の知恵の蓄積がブルーゾーン】
ブルーゾーンは世界中の研究者および現地の研究者らがその地域に戸籍の確かな長寿者が存在すること、長寿の要因を医科学的、社会学的な調査を背景にたしかめたものでありますが、同時に、長寿者一人一人の生きざま、生き方の様子を取材したルポルタージュでもあり、これこそ経験科学の蓄積の成果でもあります。コンマ1歳刻みの平均寿命ランキングに一喜一憂するのではなく、ただ長生きではない「生きがい」「つながり」「再生」といった次代の生きるヒント・生き方そして働き方のヒントがブルーゾーンの本質にあります。全米ベストセラーとなった同タイトル書には、沖縄を含む世界5大長寿地域それぞれの特徴的な食、身体活動、趣味嗜好などのライフスタイル、人生に対する考え方などが紹介されています。
百歳長寿者のことを“センティナリアン”と呼び、それはCentury(センチュリー;一世紀)を生き抜いた人々という意味であります。百歳者が何を食べ、何を日課にしてきたか、心がけていたことは何か。百年を過ごす中には、喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも、別れも、様々なライフイベントがあったでありましょう。それらをどう乗り越えてきたのか。自然と共生し、人と、地域と、どのようにつながってきたのか。一世紀をたしかに生き抜いてきた人々の、長い人生の中で培ってきた豊かな経験と知恵に触れることはアフターコロナの時代において大いに学ぶことがあると考えられ、近年再注目されています。
2023年8月には世界2億4千万人が加入するNetflix(ネットフリックス)でブルーゾーン4話シリーズが制作、放映開始され、その第1話に沖縄が登場しています。同シリーズは世界中で視聴され、今も時代のライフスタイルを求める層、富裕層、特に知識階層に訴求力ある内容、キーワードとなっています。

【“ブルーゾーンまちづくり”が世界中で進行中】
現在、全米で実に56都市がブルーゾーン健康と長寿の9つのルールを参考にしつつ地域独自の地域固有の資源と地域特性を活かしたまちづくり『ブルーゾーンプロジェクト(Blue Zones Project)』が進行しています。“地域の住民が健康であれば、まちも健康に”=人々が健康になると、都市が回復、経済力も高くなることがブルーゾーンプロジェクトの調査で明らかになってきています。ブルーゾーンとは、認定された世界5大長寿地域でしか活用できないのではなく、その学びを参考にしながら世界中のどの地域でもどの企業でも独自に取り組み、展開することが可能です。一例に近年、東南アジアのタイ国では政府保健政策のひとつに「ブルーゾーン」が明記され、国民の健康寿命の延伸政策や国内に「ブルーゾーン・モデル地域」を創る国家政策に着手しています。


【“シン・ブルーゾーン”を沖縄中から日本中から】
海外からは「日本にブルーゾーンがある、日本は世界一長寿の国」という認知がされ、日本全国どの自治体でも「ブルーゾーン」を掲げた環境と経済活性も伴った健康長寿まちづくりの展開が可能です。このたびブルーゾーン沖縄の41市町村のひとつ・読谷村が「ブルーゾーンの村宣言」をしたことによって、海外で成功するブルーゾーンをスローガンとした健康長寿まちづくりがようやく日本でも動き出す契機となりそうです。アジアで唯一、ブルーゾーンに認定された沖縄の自治体それぞれが率先することで日本全体にも波及、固有の地域資源を「健康資源」「ウェルネス資源」として新しい価値を生み出し、地域の健康はもとより、地域の環境(自然)の健康、地域の経済(社会)の健康といった3つの健康(K)という総合的な視点での新しい時代の「シン・ブルーゾーン」*1としてウェルビーイングなまちづくりが実現していくことを期待します。

*1「シン・ブルーゾーン」(荒川,2024);アフターコロナは共生の時代・つながりの時代であり、「シン」*一緒に=共生の意として)アフターコロナの新(シン)ブルーゾーンを沖縄から、日本から世界へ発信。
*シンバイオティクス=プロバイオティクス(probiotics)とプレバイオティクス(prebiotics)の組み合わせ
Gibson GR, Roberfroid MB (1995). Dietary modulation of the human colonic microbiota: introducing the concept of prebiotics. J Nutr 125(6): 1401-1412.