日本レジャー・レクリエーション学会でタラソテラピー研究発表

第45回日本レジャー・レクリエーション学会大会が12月5日-6日(会場:武庫川女子大学)に開催され、当ヘルスツーリズム研究プラットホームから図師里佳研究員が発表参加しました。図師研究員の発表は「タラソテラピーによる心身の健康効果」(共同研究者に荒川雅志教授、望月明日香氏、屋比久郁氏、新垣瞳氏のザテラスホテルズグループの共同発表)でありました。

ヘルスツーリズムのメニューの一つにヨーロッパで普及する海洋資源の利活用で疾病予防に役立てる自然療法“Thalassotherapy”(タラソテラピー:海洋療法)があり、タラソテラピー先進国フランスでは医療機関との併設が見られ保険が一部適応されるなどされています。日本では古来から海水浴を治療と用いた“潮湯治”の文化があるなかでも、欧州のように一定期間滞在し総合的に不調改善を目指すようなニーズとは異なり、レジャー・レクリエーション、エステの認識が強く、その利用は単一的にすぎません。心身への健康効果は経験学的にとどまり、定量的評価による研究報告は未だ少ないことから、本研究ではタラソテラピーの心身への健康効果を沖縄本島北部に位置するタラソ併設のリゾートホテルとの共同研究の一環に、一定数の主観的尺度を用いた調査を設計し実施しました。

「身体のこり(肩・腰など)」、「疲労度」「ストレス度」「肌の状態」の全てでタラソ滞在型ウェルネスプログラムの利用前と利用後の間には有意な変化が認められることをらかにしました。

主観的評価によるものであり、今後、生化学指標、生理指標を用いた効果評価が必要と考えられますが、海に囲まれた我が国において積極的なタラソテラピー導入による健康回復・維持・増進策は有効であることが示唆されました。島嶼国日本ならではの特性、食材など地域資源を活かした海洋ウェルネスプログラムは健康寿命延伸産業、次世代ヘルスケアとしての貢献が期待されます。