沖縄メディカルツーリズム

沖縄メディカルリゾート

(ジャパン・メディカル&ヘルスツーリズムセンター(JMHC)ウェブサイト「沖縄メディカル&ヘルスツーリズム特設ページより抜粋)

メディカルツーリズムとは

メディカルツーリズムとは、医療を目的に居住国とは違う国へ旅行することです。高度先進医療を求めて渡航するもの、臓器移植など自国では受けられない医療を求めるものから、安い治療費が理由であるもの、人間ドック受診を目的とするものなどがあります。移動による交通手段、宿泊を伴い、滞在中は観光の機会も生まれるため、「医療ツーリズム」や「医療観光」ともいわれています。

現在世界では、およそ50ヵ国が海外からのメディカルツーリストを受け入れており、毎年600〜700万人規模の患者が、自国以外の国での医療サービスを受けているとされています。

日本では、2009年「新成長戦略~輝きのある日本へ~」の6つの戦略分野のひとつ「ライフ・イノベーションによる健康大国戦略」の中で、「アジアの富裕層などを対象とした医療や関連サービスを観光とともに促進」と明記されました。

2010年の新成長戦略では、国際交流の一環に資するという考え方から「国際医療交流(外国人患者の受入れ)」が掲げられています。アジア等で急増する医療ニーズに対し、最先端の機器による診断やがん、心疾患等の治療、滞在型の慢性疾患管理など日本の医療の強みを提供しながら、国際交流と更なる高度化につなげ、日本の高度医療および健診に対するアジアトップ水準の評価、地位の獲得を目指すとするものです。

そのための具体的な取組みとして、「医療滞在ビザ」の設置や通訳等の医療言語人材の育成、外国人医師・看護師による国内診療等の規制緩和、外国人患者受入れに資する医療機関認証制度の整備、医療機関ネットワークの構築、海外プロモーション等外国人患者受入れ推進体制の整備などが挙げられています。

長寿の島、沖縄メディカルリゾート

観光立県である沖縄では、「医療ツーリズム促進事業」(平成22~24年度)、「医療ツーリズム・プラットフォーム形成事業」(平成25年度)、「沖縄型ウェルネスツーリズム等推進事業」(平成26年度~継続)などで医療ツーリズム事業を実施してきた経緯があります。また、国家戦略特区で沖縄は「国際観光拠点」に位置付けられ、沖縄振興への政策提言として医療特区制度の導入が検討されています。観光と医療が連携しやすいプラットフォーム構築や受入体制の整備、沖縄らしい国際医療交流の推進が進んでいます。

沖縄は、日本の最南端、最西端に位置し、東西1,000キロ、南北400キロに及ぶ広大な海域に点在する大小160の島々で構成されている島嶼県です。台北、上海、香港、マニラなどアジアの主要都市をはじめ、東南アジアの国々、オセアニア諸国に最も近い距離に位置する日本の南の玄関口です。沖縄はまた、日本で唯一の亜熱帯海洋性気候に属する、エメラルドグリーンの美しい海に囲まれた島です。周辺海域は、世界でも屈指の透明度と国際的にも重要な珊瑚礁生態系が育まれている生物多様性の宝庫で、年間を通じて温暖で過ごしやすく、ゆったりとした時間が流れるこの島に、保養や癒しを目的に毎年多くの観光客が訪れています。

この島はまた「長寿の島」としても広く知られています。長寿地域の指標である人口10万人当たりに占める百歳以上長寿者の割合は長寿国日本の中でも上位にあります。一方、三大死因の悪性新生物(癌)、心疾患、脳血管疾患の死亡率は日本で最も低く、こうした長寿を支える独自のライフスタイル、先人の知恵に富んだ「命薬(ぬちぐすい)」、「医食同源」思想の豊かな食文化、穏やかでおおらかな精神風土は、現代においてもしっかりと引き継がれています。

近年、日本政府は、医療ツーリズムを国家戦略の一環として推進していますが、ここ沖縄においても独自の取り組みが進行中です。医療交流でアジア、世界の架け橋となる想いを込めた「万国医療津梁協議会」(Council of Bankoku Iryou Shinryo)が2011年に設立され、産官学および医療機関の連携による横断的な取り組みが始まっています。日本の強みである世界最高レベルの医療技術水準を有しつつ、沖縄の独自性、沖縄の優位性としては、主に『健診・検診分野』、『リハビリテーション分野』、『滞在健康療法分野』を挙げることができます。県内には人間ドックや健診に特化した医療施設、リハビリテーション医療が充実した施設、スポーツ、フィットネスと疾病予防のクリニックが融合した施設が多く存在しています。こうした医療を支える人材輩出も優位な環境にあり、人口10万人当たりの医師の数、看護士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の数はいずれも全国平均を上回っているのも大きな特徴です。

沖縄はまた、近代西洋医学に伝統医学や相補・代替医療を組み合わせた「統合医療」の実践が進む地でもあります。さらに、美しく清浄な海でこそ心身の癒し効果が最大限発揮される自然療法「海洋療法」のメッカです。ここ沖縄にはアジア最大級の海洋療法施設や、世界第2位の取水量を誇る海洋深層水療法施設が存在しています。世界最高水準の医療はもとより、統合医療との融合サービスや、温暖で美しい海洋自然、独自の歴史・文化より培われた健康長寿の知恵との出会い、そして、アジア随一のリゾートデスティネーションに向けて著しい発展をみせる観光との組み合わせを提供できることが、ほかにはない最大の強みです。

長寿の島、沖縄メディカルリゾート

沖縄だからこそできるホスピタリティあふれるケア、沖縄でしか体験できない「沖縄メディカルリゾート」の旅へ、こころよりお待ちしております。

琉球大学大学院観光科学研究科 教授
ウェルネス研究分野
荒川 雅志

福岡大学大学院医学研究科社会医学系専攻疫学専修修了。医学博士。
2007年、国立大学法人で日本初の観光系学科、琉球大学観光科学科助教授。
2012年、観光産業科学部教授。2013-2015年、観光科学科学科長、副学部長。