観光科学研究科「ウェルネスツーリズム演習」実施

琉球大学大学院観光科学研究科の正規授業として日本初の「ウェルネスツーリズム演習」を2016年度より開講しています。本授業は座学のみならず民間、行政のご支援を得て「生きた学び」を学内に求め、体験実習型講義として実施してきています。

本年度は、琉球最高の聖地、琉球開闢の地である南城市(沖縄本島南部)で行う集中講義として開講しました。参加者は日本人はもとより中国、台湾からの留学生や韓国からのビジター教授らが集い、アジア国際交流ともなりました。

▶「ウェルネスツーリズム演習」2020年度in南城市
日程:2020年11月2日(座学)、3日、4日(南城市フィールド実習)
南城フィールド実習行程
[11月3日]
南城市がんじゅう駅集合
・「ウェルネス概論」講義
・久高島見学(カベール岬、クボー御嶽、イシキ浜、久高殿、外間殿ほか)
昼食(イラブー汁(ウミヘビ)定食)
・ウェルネスリゾート沖縄休暇センターユインチホテル南城
・沖縄温泉体験・ユインチホテル内「猿人の湯」
交流会、宿泊

[11月4日]
・世界遺産「斎場御嶽」見学
・→ヤハラズカサ(過去を振り返るプログラム)
琉球開闢の神が降り立った地、ヤハラズカサのある美しい百名ビーチを、裸足になって五感を開きながら歩くビーチウォーキング。アーシング(Earthing;裸足や素肌で地球の大地と直接つながること)とも言え、波うちぎわを歩きながら、自身のたどってきた過去の足跡を振り返る。その後、ビーチ岩場の陰で座禅・マインドフルネス体験。参加者が円になり思い浮かんだことを共有。

・→垣花樋川(現在を見つめるプログラム)
・→玉城グスク(未来を描くプログラム)
まとめ、解散

琉球開闢の地・始まりの地・南城市で、地元の飲食、ホテル、地域ガイド、旅行事業者、観光協会、行政、大学の監修による産官学連携で作り上げられたプログラムは、
ひとたびゼロベースになり、「過去」、「現在」、「未来」を繋ぐ原点回帰プログラムです。
➊大学の実践講義としても、
➋ウェルネスツアー、メンタルヘルスツアーとしても、
そして最近では、
➌企業の健康経営、社員研修プログラムとしてもアレンジされ販売提供されています。

ウェルネスツーリズムとは、「旅先でのスパ、ヨガ、瞑想、フィットネス、ヘルシー食、レクリエーション、交流などを通して、心と体の健康に気づく旅、地域の資源に触れ、新しい発見と自己開発ができる旅、原点回帰し、リフレッシュし、明日への活力を得る旅のことです*1

地域の固有の資源、人に触れ、もっと生き方の、人生の深いところに突き刺さる体験、交流、共感、感動で、また再び来訪を強力に促す仕掛けづくりをこの授業で学びます。コロナ禍の観光、アフターコロナの観光に向けて、消費される観光地からの脱却、そしてもはや観光とは呼ばない目的型の価値提案を。心身の癒しはもとより、ふと立ち止まり自分を見つめ直す場所、「原点回帰」という価値を提供することが地域の豊かな資源、固有の資源には可能です。ここだけにしかないもの、目的を求め、訪問者が世界中から訪れます。

▶今後、本授業をはじめ、当ウェルネス研究分野が提供する全ての授業は「生きた学び」の場を学外に求め、本学学生のみならず、「公開授業」として、県内他大学学生、県外学生そして海外からも自由に受講できるようにします。生きた学びとウェルネスまちづくりが共創し、琉球開闢の地から始まり、沖縄全体へ次世代の「若い力の関係人口」誘引に寄与していきたいと思います。
協力:イーストホームタウン沖縄株式会社、南城市、南城市観光協会、ウェルネスリゾート沖縄休暇センターユインチホテル南城

The latest definition put forward by Arakawa from the University of the Ryukyus (Japan) being that Wellness is “designing a rich life on the basis of physical health, mental health, environmental health, and social health, to achieve self-actualization.”*
*1荒川雅志(2017). ウェルネスツーリズム~サードプレイスへの旅~フレグランスジャーナル社(Arakawa M. “Wellness tourism, trip to the third place”, Flagrance Journal publishing  2017 (in Japanese).